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【岩井俊二:リリイ・シュシュのすべて】は胸糞映画なのか?

日本きっての「鬱映画」「胸糞映画」との呼び声も高い「リリイ・シュシュのすべて」ですが、私は昔からこの映画が面白くて何度も観たよ。私ってやばいかな。

 

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【岩井俊二:リリイ・シュシュのすべて】あらすじ

 

ある地方都市、中学2年生の雄一(市原隼人)は、かつての親友だった星野(忍成修吾)やその仲間たちからイジメを受けるようになる。そんな彼の唯一の救いはカリスマ的女性シンガー、リリイ・シュシュの歌だけであり、そのファンサイトを運営する彼は、いつしかネット上でひとりの人物と心を通わしていくが…。

 

【岩井俊二:リリイ・シュシュのすべて】感想

ひどく暗く重いとは、昔は全く思っていなかった

 

この映画を観たのはDVD化されてから少し経った頃で、私が20歳くらいの時だったと思う。

私はまさに、完全に「リリイ・シュシュ」世代で(どんな世代がよく分からんけど)、出演者の殆どが同世代。さらに、私は当時映画監督を目指していて、岩井俊二なんていう監督は比較的一部では神格化されているような人だったんですね。

私自身は、それまでそれほど好きだったわけではないけど(もちろん、何本かは見ていた)。

 

で、若い頃にこの映画を観て、「こりゃあかなり面白い!」と思ったわけです。
面白くて面白くて、夢中になってみた記憶があるよ。

この映画の私の印象は、暗いとか救われないとかではなくて、とにかく「面白い映画」「よくできた映画」というものでした。

 

後で岩井俊二が「花とアリス」を制作したのに関しては、「今回は割と明るい青春ものだな~」とか思ったものだけど、そもそも私にとっては「暗い青春=リリイ・シュシュのすべて」「明るい青春=花とアリス」というようなコントラスト程度の差しかなくて、結局あんまりこの2本の映画に違いはないと思っていたわけ。

 

確かに2本を比べるとリリイ・シュシュのほうがドラマチックっちゃドラマチックではあるけども……。

 

数年ぶりにこの「リリイ・シュシュのすべて」を見て、私はすごく驚いてしまった。

 

 

マジで今更過ぎてビビるんだけど、この映画めちゃくちゃ重くないですか(笑)←今更www

普通に若い女が楽しそうに観れる映画ではないと思うんですけど。
でも、その時から私はこの映画を暗いものではなくて面白いものだと思っていたわけで。

 

でも、さっきAmazonのレビューとかを見てたんですけど、「辛すぎて最後まで観れなかった」とか、「花とアリスの監督とは思えない。ショックな映画だった」とかの意見が結構あってやっぱり違和感があるんだよね。

 

辛すぎるの意味が分からない。やっぱりわからない。

こんなに素晴らしく面白いのに。

 

もう、隠しても仕方ないから書いてしまおう。面白いっていうか、もはや楽しいんですよね、この映画。←やばい

 

そもそも私はかなり暗い映画が昔から好きなんですね。

 

私の好きな映画の一つに「めぐりあう時間たち」という映画があって、この映画もとてつもなく好きで多分30回くらい見てるんだけど、やっぱり登場人物がうつ病だったり、自殺したりするわけです。(しかも何人か)

私がどうして「リリイ・シュシュのすべて」を重い映画だという認識になってなかったのかということを私なりに考えてみました。

 

「リリイ・シュシュ」は重くない・理由①

 

まず、理由の一つには、私が昔からいじめを受けていたからだと思う。

この映画にあらわされる程のいじめではなかったけど、私も長年いじめを受けてきていたので、なんというかその、この映画の中で行われていることが別に特異なことではなかったですよね。

まあ、私の場合は、ハブくらいだったんで程度は全然違いますよ。

でも、人の悪意や暇つぶしの嫌がらせというものが日常茶飯事だったから、そもそもそういうことに注目した映画があっても特に驚くにはあたらない。

人の悪意ってあるんですよ。

 

で、例えばそれがもし本当にいじめでレイプされたりした子だったら、逆にこの映画を観れないんだと思います。

私の場合はそこまででもなかったから面白く見れたのかも知れない。

 

この映画の感想で、「観てられなかった」っていう人って、まあなんというか偽善者だよなあーと思います。

世の中でいじめを見たことのない人なんでいないでしょ。

いじめられたことない人も少ないと思うけど。
でも映画の世界でも、描かれた人間の露わな悪意から目を逸らしたくなるなんて、都合いいよなって思ってしまいますよね。

 

そういう人って多分今までクラスでいじめにあってる子のことスルーしてたタイプなんじゃないの?

 

「リリイ・シュシュ」は重くない・理由②

 

もう一つの理由が私がこの映画を面白いと思った理由で、まあこの映画自体が評価されている大きな理由かと思うんだけど、この映画で描かれているのは「人間の悪意の本質」だからだと思います。

私にとっては、「いじめる側の心理」というのがすごく気になるんですね。興味があるんです。

 

私は「いじめられる側」の事にはあんまり興味が無いんです。大体わかるから。
だって自分がプロトタイプっていうか、やられてた方ですから別に理解する必要もないんです。そういうことはうんざりするくらい考え続けてきたんで。

ただ、「いじめる側」ともなるとどうもよく分かんないんだよね。

 

意味不明なんです。いじめる人間って。

人に対して意味もなく悪意を持つというのが意味不明。

 

私は別に、いじめはよくないとか、いじめっ子はいじめを止めろと言っているわけではないんですよ。もちろんいじめはダメなんですけど、そんなことを否定しても人類においてあんま意味ないと思うしね。

 

だけど、人への悪意を娯楽に変えるスキルは私に無いんで、理解できないんだよ。

 

人の精神って本当に謎だと思っていて、人をいじめたいとする精神は人間特有だから面白いなーと思っているんですね。

私も人のこと嫌いになったりもちろんするけど、それで誰かをいじめたり省いたりして楽しい気持ちになるっていう技が私にない。

でも一方で、それを感じることって一種の人間の性っていう気もするのよね。
本能なのかも知れない。

 

私はこの映画ほど、この「人の悪意」の無意味さを描いた作品はないと思うんですよね。だからとにかく面白いんです。

 

星野が「悪の象徴」にまでなってしまったことに理由なんてないでしょう?

人が死ぬことに理由なんかないわけです。
人が誰かを陥れることに、必ず理由が無きゃいけないとは思わない。

 

で、その結果誰かが死んだり、傷ついたり、それってすごくある意味では自然なことなんだろうなと思うんですよ。

それをこの映画は描きたいのかなあと思って。
私は「いじめちゃだめだ」という風に正義を振りかざすような映画よりも、人の本質の中にあらかじめ組み込まれた「理由なき悪」の姿を描いたこの映画の方がはるかに面白いと思います。

 

今回、久々に見て、昔よりも少しだけ大人になって見れたから「暗い映画だな」と理解できた部分もあるけど、心の中では普通にやっぱり「面白い映画」だなと思う。

 

面白い、というか、案外私の中ではこの映画って、いい意味で「普通のこと:誰も言ってはくれなかったけど」ということのような気がします。

 

ちなみに、私にはかわいそうな人を助けたい、という上から目線での優位性や偽善的精神はあります。残念ながら。

悪意とあまり変わらないかもしれないけどもね、

そういうわけで、いじめに対してはかなり大きな怒りが今でもあります。

 

【岩井俊二:リリイ・シュシュのすべて】オススメ度

 

 

と、言うわけでこの映画はどんな方にも非常におすすめです。

でも多分普通見たら重い気分になると思うので、まあ覚悟は必要なのかな、という感じ。

 

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