映画みなくても死なないよ

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

映画みなくても死なないよ。

映画と本と芸術と旅。好き勝手やってます。

【森村誠一原作:人間の証明】ネタバレ感想:ドラマと原作の意外な違いとは?

森村誠一原作の「人間の証明」が今日放送されました。

原作も有名だし面白そうだったので、あらかじめ読んで予習しときました。今日ギリギリで読み終わり!

結構原作と違うところがありました。

f:id:nitari-movies:20170402232029j:plain

出典:人間の証明|テレビ朝日

かなりネタバレします。

「ネタバレ」と言いますけど、ドラマよりもずっと原作が面白いし、ドラマを観た人でも絶対に楽しめると思うので、読もうと思ってる人はこの記事を飛ばしてください。

原作とドラマ版の大きな違い

原作では2本柱以上の複雑な構成のミステリーだった

原作では2本柱のストーリーだったのが、ドラマではほぼ「八杉恭子」関係の話のみでした。

原作では、ジョニー殺しの操作捜査が大きな柱、そしてもう一つは八杉恭子の息子が起こしたひき逃げ事件

原作では、実はこのひき逃げ事件の顛末がけっこう面白いんですよ。

読んでいる方としては、ジョニー殺しの捜査に夢中になっていたと思ったら、いきなり全然関係ない追跡劇が始まる。

いきなり全然関係のない男が出てきて、妻が行方不明だという。そして、個人的にこの夫・小山田が妻の行方を追跡するんだけど、ここのところがすごく面白い。一体全体いきなりどうして妻の失踪の追跡になるんだという感じなんだけど、そのわけわからなさが面白い。

結果的に結構しつこく苦労しながら、ここで行方不明になった妻というのが、実はひき逃げ事件に巻き込まれたらしい、と突き止めるまでに小説半分くらい費やしてます。けっこうしつこくていい感じです。

そもそも読んでいる側としては、はじめはストーリーの全体像がいまいちわかってないというわけです。もちろん、いい意味で。

で、だんだん読み進めていくうちに、2本の柱が1本に絡まり合って行くというわけです。

まあ、この絡まり感は若干無理やりだったわけですね。
それはこのドラマでも描かれましたけどね、「え、全然関係のない事件なのにたまたま感www」と思ったよね正直。

まあでもドラマよりも小説の方が複雑なので、全てを理解しようとしなければそれほど違和感はないです。(考えちゃえばいろいろ出て来るにしても……)

ドラマでは最初から怪しすぎる八杉恭子

小説では本当にかなりぎりぎりにならないと八杉恭子が容疑者にはならないんです。

ドラマ版で意外だったのは、八杉恭子が容疑者になるのがめっちゃ早い。
何なら、出てきた瞬間から怪しい(笑)

小説だとまだ、どういう事件かも分からない段階でしか恭子が出てこないので、あんまりそこまで読めないですね。

この小説の最も重要な点は、そのミステリーのトリックとかではなくて、結局、親子の愛というか、人間であること、「人間の証明」というところなので、主人公の棟居の生い立ちも含めてクローズアップされるのは自然な流れだと思います。

実はこの小説は構成がものすごく良いので大変面白いんだけど、普通にストーリーだけ追うのでは大してドラマチックな展開はないんです。なのでTV版や映画版として脚色するときには、ミステリーとしての展開としてよりも人間ドラマを優先させるのは当然の展開だと思います。

だけど、本当はけっこうもったいないですね。

もちろん忠実に再現するのは無理があると思うんだけど、この小説の面白さよりもドラマ性ばかりに目を奪われるのではちょっと残念だったかもな、というところ。

だからその点においても、ぜひとも原作を読むことをオススメします。

ドラマではあまり描かれない、棟居の救済

ドラマでは、藤原竜也演じる棟居の救済までは描かれていませんでした。

過去の生い立ちから人間不信になってしまった棟居は、人間に対する絶望と復讐心から犯人を追い詰めてゆく為に刑事になったわけです。
そして彼女を追い詰めた結果、もしもこの女に人間としての良心がまだ少しでも残っているのならば、それを証明してやる、この女が人間であることを証明する、と、少ない証拠しかない中で彼女と対峙するわけです。

小説にもはっきりと書かれていましたがここに主人公棟居の大きな矛盾があったわけです。

彼は人間を信じていなかった。そのようにおもいこんでいた。だが決め手をつかめないまま恭子に対決したとき、彼は彼女の人間の心に賭けたのである。心の片隅で、やはり人間を信じていたのだ。

森村誠一「人間の証明」本文より抜粋

原作ではさらに、棟居の父をなぶり殺した米兵の末路も意外なところで描かれます。
この展開は完全にできすぎだけども、この小説に純然たる悪人はいないように、世の中には純然たる悪人というのは存在しないのだというメッセージは、私はよかったと思います。

ドラマ版では、最後どのように棟居がこの事件の事を感じたのかという描写が一切ありませんが、そこをあまりにも押し出し過ぎるとしつこくなるので、これはこれでよかったと思います。

鈴木京香が抜群に良い

それにしても鈴木京香は本当に適役でしたなっ!!
今の時代で八杉恭子を演じられるのは、彼女において他にはいなかったと思う。猛烈にゴージャスな美貌を持ちながらも、コロコロと変わる感情に翻弄される女性像が完ぺきに演じ分けられていました。

これは本当に難しい役どころだった思いますが、素晴らしかったです。

いっぽう、棟居を演じた藤原竜也はどうでしょうかねえー(苦笑)

全然70年代っぽくなかったけどね……
私は藤原竜也は子役くらいの時からかなり好きですけど、時々どうかと思うときありますね。なんか変だよ現代的で。もっと地味な人がよかった。

地味っていうか、10年前の竹野内とかの方が(わざとらしいけど)まだよかった。

別にイケメンじゃなくていいんだけどなーと思いますね。
まあ山田孝之とかがよかったと思います。山田孝之だったらよかったな、というドラマや映画は数知れないので、今更言うまでもないかんじですけども。

松田優作は当然さいこうかとおもわれ。

それにしても何度も言いますけど、この作品はとにかく原作が面白いので、今からでも遅くないのでぜひ原作を読んでみてくださいね。

※ちなみに映画版は今日、Amazonプライムで観ようと思ったんだけど面白くないので途中で辞めたが……やっぱり観てみようかな……松田優作好きだし