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湊かなえ小説【往復書簡】あらすじ&ネタバレと感想

湊かなえの「往復書簡」は、書簡形式の短編ミステリーの連作です。

湊かなえ大好きな私ですが今さら読み終えたので、あらすじと感想を書きます。

 

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湊かなえ小説【往復書簡】あらすじ

 

 高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子6人に会いに行く。6人と先生は20年前の不幸な事故で繋がっていた。それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、6人目となかなか会うことができない(「20年後の宿題」)。過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。

 

湊かなえ小説【往復書簡】ストーリー

十年後の卒業文集 あらすじ

 

基本的には高倉悦子と谷口あずみの書簡で構成されています。

まず初めに悦ちゃんからアズへ。
話題はもっぱら、高校時代の仲間である浩一と静の結婚式の話題。

高校時代悦ちゃんと静、アズ、ちーちゃんの四人は放送部員をしていた。
あるとき合宿で4人が好きな人を告白する、という機会に全員が好きな人を浩一くんといって、気まずい空気になったことがあった。

その後、4人の中で一番美人のちーちゃんが浩一と付き合うことに。

それなのに、結局結婚したのは浩一と静だった。
悦ちゃんは卒業後地元を離れてしまったので状況は分からないが、どうやら千秋は行方不明らしいということを聞いて、アズに状況を聞くことにした、とのことだった。

二人が別れた理由は、大したことじゃないというアズ。

しかし、実は二人が分かれた理由にはある「事故」がかかわっていた。
それは、アズとちーちゃんと静が3人で、昔放送部でロケをした山に行ったときに、ちーちゃんが転んで顔に何針も縫う大けがをしたこと。

それが理由で、ちーちゃんは浩一と別れたらしいという。

アズが聞きたかったことは、本当にそれが事故なのか、ということ。
昔から浩一のことが好きだった静が故意にけがをさせたのではないか?

書簡はアズと悦ちゃんのものから、悦ちゃんと静のものに変わってゆき、物語は意外な展開を見せる。

 

十年後の卒業文集 ネタバレ感想

 

「往復書簡」のエピソードの中では一番面白かったです。

最後、実は悦ちゃんのふりをして結婚式に出たり手紙を書いていたのがちーちゃんだった、というオチ自体は「あり得ない!」という感じだけど、こういう変態的な感じこそ湊かなえの真骨頂だと思います。

ここを面白いと思って飲み込めるか飲み込めないかで、読んだ人が湊かなえの作品を気に入るかどうかが分かれるんじゃないかなと思います。

 

他の2作品が人情的なものだったので、かえってこの作品がまさに湊かなえって感じですごく面白い。

ほんとにこの人は人の会話や手記で話を続かせるのが天才的にうまいですね。

 

二十年後の宿題 あらすじ

 

恩師である竹沢先生の依頼で、大場は先生の小学校時代の教え子6人に会いに行くことに。

竹沢先生からは「6人がどうしているのか知らせてほしい」とのことだったけど、大場は調べてゆくうちに、6人が全員、小学校時代の「ある事件」にかかわっていることを知った。

その事件とは、竹沢先生が夫と、6人の児童を連れて落ち葉拾いに行ったときに、児童の一人が川に落ちてしまい、それを助けようとした竹沢先生の夫が川に流されて亡くなった、というもの。

最初にあった教え子は、その時の先生の様子をかなり好意的に捉えていたが、話を聞くうちに意外な事実も発覚して……というもの。

 

二十年後の宿題 ネタバレ感想

 

結局のところ、この主人公の大場敦史の婚約者が、実はこの6人のうちの一人で、彼女の要請で先生が彼にこの事件を調べるように要請したのだと分かります。

彼女がきっかけで、先生の夫は亡くなることになり、そのことを悔やんで一生自分は幸せにはならないと思っていた彼女は、敦史からのプロポーズを受けて先生に相談したのでした。

結局たぶん、敦史と彼女はうまくいったんだろうなあと思います。

でもこの話は平和的過ぎてあんまり好きじゃないですね。
まあ、湊かなえの作品が好きな人だったらみんなそう思うと思いますけど。

最後に素敵などんでん返しがあったからつまらないっていうのもあるんだけど、それ以前に私としては、素敵なことに対して回りくどい事をされるのが嫌いなんですね。

湊かなえを含むミステリーの真骨頂は、悪いことを回りくどく操作して焦点をずらすという技術の事だと思っているから面白いのであって、誰かの目的が悪い事だった場合視点を外させるトリックこそがミステリーなんですね。

 

良い事だった場合は回りくどい事なんかしなくていいんですね。

もっとふつーにやれよって思ってしまうわけ。

 

1話目のあり得ないほど回りくどい事も、そりゃあ悪い事しようっていうんだから限界まで回りくどくするのは当然なんですね。

今回の場合は、別に回りくどくする必要はなくて、フツーにやってればって感じ。

まあ、それだとドラマにならないんですけど。

 

何か「良い話」に向かってゆく場合、何が難しいかといって、方法が一つじゃないことですよね。

人と人がくっつくとかそういう方法は、何も一つじゃないわけです。現実的に。

しかし、それが悪い事の場合は、大体が一つしかないとか必然的にその方法をとるしかない、ということが出てくるわけで。
だからこそ、ミステリーは面白いんだけど。

一つじゃなくてもいいことは、なるべくストレートにやってほしいなと思うので、話としてこれは別に面白くなかったですね。

 

十五年後の補習 あらすじ

 

純一と万里子の書簡。

二人は恋人同士。純一は国際ボランティアとして、ある国の僻地へ派遣されている。

彼らは十五年前からの幼馴染。
二人には中学時代のある事件の記憶があり、万里子はそのことが理由で国際ボランティアに応募したのではないか、という。

その事件とは、純一と万里子の同級生だった一樹と康孝のトラブルだった。
一樹は腕力にものを言わせるタイプ。一方の康孝は静かな性格で、本ばかり読んでいるようなタイプだった。

3人は昔は仲が良かったが、次第に仲たがいする。

ある日、一樹が康孝を殴るという事件が起こる。万里子は止めようとするが、純一はただ見ていただけだった。

その後、この4人には「ある事件」が待っている。
しかし実は、万里子は事件の当事者であるにも関わらず、その時の記憶のほとんどを無くしてしまっていたのだった。

その事件とは、万里子と一樹が閉じ込められた倉庫で火事が起こり、間一髪で純一が万里子を救出するも一樹は焼死。火を付けた康孝は翌日に自殺した、という事件だった。

 

康孝をいじめていた一樹に一矢報いるため、康孝は一樹と万里子を呼び出して倉庫に閉じ込めた。万里子はその頃いじめを止めようとしていたりして、うざったい感じだったから、一緒に閉じ込めればレイプするなり面白いことがあるだろうと思ったのだ。

実際に一樹は万里子を襲おうとした、しかし、万里子はその場にあった角材で一樹を殴り殺してしまう。

一方康孝は閉じ込めた後しばらくタバコを吸いながら様子を見ていたが何も起こりそうにないので、タバコを捨ててその場から去った。それが火事の原因となった。
そのことを気に病んで彼は翌日に自殺。

純一は万里子の記憶のないことを幸いに、彼女が一樹を殺したことを伏せ、場合によっては自分が罪をかぶろうとした、という話。

 

十五年後の補習 ネタバレ感想

 

ややこしい話でしたが、これもどっちかっていうといい話なので、別にそこまで回りくどい事しなくていいんじゃないかなと思った。

そもそも私は、誰かのために嘘をつく、とか、誰かの罪をかぶるとか、そういう良い方向の嘘とかがあんまり好きじゃないんですね。

もっと素直になれよ的なね。
この話だって、そもそも別に完全にこれって一樹と康孝の話だったわけだし、二人は特に何も悪い事してないわけですよね。

まあ、殺したことが過剰防衛とかいろいろあるにしても。
だからこの話も、まあどうなのかなって思った。

読み手が面白いがための話っていうのは、いい話の場合はなかなか作りづらいんだと思うんだよね。

そもそも「面白い」というのは、「スリルや意外性がある」ということで、あんまりそれって善良な事象としてイコールで結びつかないんですね。

だから、この二つの話に関してはお話が面白くなるために書簡でかき回したって感じがするのであんまり好きではないです。

 

一方で十年後の卒業文集がなんで面白いかというと、それは話をかき回した本人が作者ではなくて登場人物だからです。

そういうミステリーこそが、やっぱり面白いと思うけどね。

 

それと、この人たちの過去があまりにも壮絶すぎて思った以上についていけなかったということもある。

旦那が水死くらいの事件のほうが信ぴょう性があると思った。

 

湊かなえ小説【往復書簡】おすすめ度

 

 

湊かなえ好きだったらあんまり楽しめないんじゃないかな。

逆にそうでもない人が楽しめそうな感じ。