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【湊かなえ:リバース】ネタバレ&あらすじ感想!!未読禁。

湊かなえの「リバース」のネタバレ感想です。

未読の人は、悪いこたぁ言わないからこれ以上見るべきではないよ。

 

 

 

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本当に読むのか?

 

 

いいんだな?

 

 

【リバース】ネタバレ感想

ヒューマニズム系の作品に落ち着いてしまったかと思いきや

いやあ、なんという、ほんとびっくりしたわ~

かなり途中まで面白かったんですけどね、なんか途中からヒューマニズムに走ってしまって、ああ、湊かなえ自身が「最近はあんまりイヤミスやってないんです」って言ってたのはこういうことか、と思いまして(ちなみに、言ってたのは2年くらい前で、その時すでに「そろそろ復活します」って言ってた)

湊かなえの作品の最も素晴らしいところは、その人間性の悪趣味さ、ですよねっ!!

湊かなえって地味でかわいらしい顔をしたおばさんですけど、その本質は本当に性格が悪いと思われ。もちろん、いい意味で。

(「いい意味で性格悪い」っていうのもねwww)

余りにも悪趣味なので、けっこう賛否両論が分かれるところですよね。
悪趣味を突き進み過ぎた結果、ファンタジーのようになってしまった「贖罪」などは、私にとっては彼女の最高傑作の一つなのでは、と思っています。

さてさて、ところが「リバース」は、なんというか全然嫌な空気がないんですね、はじめから。ウキウキさわやかって程でもないですけど、まあ、他の作品に比べたらそんな感じ。

まず話の焦点に入るまでに結構時間がかかる

冒頭で主人公に、「深瀬和久は人殺しだ」という手紙が来る、と描写こそあれ、実際にその事に触れるのはだいぶ後になってからだし、そこから深瀬が告白する、大学時代の「出来事」も、本題に入るまでに結構長くかかる。

ここで湊かなえは、かなりのページ数を人物描写に充てています。

で、私がものすごく関心したのが、この描写の部分がめちゃくちゃうまい!!
初めはコーヒーの話がひたすら続いて、別に本題には関係なさそうなんだけどもそのコーヒーがめちゃくちゃおいしそうで読んでいてとても楽しいし、全体にちりばめられたさりげない説明で主人公の深瀬がどういうイジけた人間性を持っているかがよく分かるんですよね。

事故が起こった旅行に関しても、本当に面白い。
読んでる側としてはまだ何が起こるか全然分からないわけで、普通に考えたらミステリーなんだし「早く誰か死ねよ」っていう風になってもおかしくないんだけど、その人間模様がすごく面白くて引き込まれるんです。

湊かなえはこんなに普通の人物描写もできるんだ、と感服しました。

で、そうやって地道に登場人物たちの人間性を浮き彫りにしていって、いざじゃあ謎を解こう、というのがもう5分の3くらい終わってからなんですよ。それでも一切飽きさせない。

そこからは本当にジェットコースターで、一体、死んだ広沢がどういう人間だったのか、ということを主人公の深瀬が調べてゆく。

で、そこで出て来る新事実とかも、まあ、意外なことはあるけども結構自然なんですね。

最終的には、深瀬が付き合っていた美穂子が犯人(?)だったわけだけど、それでも物語全体に伏線として張られていた、実は自分は広沢にとったら親友ではなかったんじゃないか?という問いに対して、美穂子の口から「一番の親友だったと言っていた」みたいなことを聞いて、深瀬が涙する、という。。。

その辺はなんだかコテコテ過ぎて、「そういうのは別にいいわ。。(;´・ω・)」と思わないでもなかった。

しかし!!

さすがイヤミスの女王はそんなところで話を終わらせない!

実は、問題の夜に広沢が村井を迎えに行く直前に渡したコーヒーに入れた蜂蜜が、蕎麦からできたもので、アレルギーだった彼はそれが理由で発作を起こして事故になってしまう、という話。

いや、これにはほんと参った。
何が参ったと言って、これを書きたいが為に、深瀬のコーヒーのめちゃくちゃ細かい描写があったのだということが、ようやくわかるから。

これを読んで初めて、あらゆるところに伏線が張られていたのだということが分かりますね。

特に秀逸なのは、「結局広沢はどうした死んだのか?」という、問い自体をあまり表向きにさせず、「手紙を皆に送りつけた犯人捜し」に終始させたところです。

これは本当にすごい。
と言って、広沢の死に全くなんの疑問もなかったら、それはそれでこの結果になったとしても「考えすぎじゃね?」ということになる。

ある程度、「広沢が運転をミスるなんて変だな」くらいの疑問を抱かせたまま、しかしそれを強調しないで話を進めていくことで最終的には衝撃度をあげるという、とてつもないことをやってのけましたね、湊かなえは。

美穂子ちゃんが事件に絡んでいそうなことは、深瀬が謎を追い始めたくらいの時点で割と読めてたんですけど、で、私も「読めたぜフフ、、、」とかいって悦に入ったりしてたんですけどトンデモなかったわ。
多分、多少の人間がここで美穂子との関連を予測することですら織り込み済みだったかと思われますね。

普通のミステリーと全然違うところ

普通のミステリー作家は、作品が殺人ゲームみたいになってしまうことが多いんですよね。

無駄に泣きを狙ったものもあれば、ただ単に推理の駒に使われるゲームのようなものも多いです。

それが嫌で、私は気に入るミステリー作家はほとんどいません(そもそもミステリー小説の中でも推理小説って言われるものは、ドイルとクリスティ以外はもうあんまり読まなくなってる)。

湊かなえの場合は絶妙にゆがんだ人物描写によって、薄っぺらい殺人ゲーム以上のものを作ってくるんですよね。そこには多分、性悪説にも似た人間への嫌悪感と、それに矛盾した美しさみたいなものが含まれていると思う。

この作品も、だから途中までは「今回は人間ドラマに走ってしまって、悪いとは言わないけどそうでもなかったな」と思わされたぎりぎりのところでやってくれました。

やっぱ湊かなえの作品は、本当に面白いっ!!

ちなみに、もうすぐこの作品のドラマが放送開始されますけど、けっこう原作と違いそうですね。
まあ、原作よりも面白くなるってことはないですけど、楽しみにしてます。

 

 

最後に全然関係ないんですけど、主人公の名前の「深瀬」っていうのが私の大好きなSEKAI NO OWARIの深瀬慧みたいで、いちいちなんかムズムズしました。

マジで関係なし

 

↓湊かなえの「贖罪」のレビュー